5/31月、標葉隆馬氏「東アジアSTSネットワーク−共通点・違いを捉えて−」

5月31日(月) 14時40分〜16時10分

「東アジアSTSネットワーク−共通点・違いを捉えて−」
著者:標葉隆馬(京都大学), 江間有沙(東京大学), 中村征樹(大阪大学), 塚原東吾(神戸大学)
(代表発表者:標葉隆馬)

発表要旨
 イギリス・アメリカで始まったSTSという研究領域が、東アジア圏でも近年急速な広がりを見せている。その広がりは、2007 年にEASTS(East Asian Science, technology and society) が国際雑誌を刊行したことなどにも見ることができる。これらの動きにおいて、東アジアSTSの研究は、一つのジャーナル共同体として確立しつつあると同時に、欧米における既存の理論適用を越え、東アジアSTS独自のフレームワーク構築という方向を目指している点は重要である。しかし、東アジアSTS独自のフレームワーク、ないしはその具体的な方向性や戦略がどのようなものであるのかについては、現時点では判然としていない部分も多い。そこで、東アジアSTS独自のフレームワークを構築していくための一つの方途として、東アジア各国のSTS研究の類似点・相違点を整理し、それぞれの抱えるSTS的課題の共有という方向性が考えられる。文化的・風土的に近しい東アジアという括りだからこそ見えてくる共通のSTS的課題があるのではないだろうか。
 本発表では、最初のステップとして日本と東アジアSTSの学術誌である、科学技術社会論研究とEast Asian Science, Technology and Society: an International Journalに掲載された論文のトピックスの傾向に注目し、共通点と違いについて検討する。またその検討を通じ、今後の東アジアSTSにおける協働の方向性を検討し、(特に若手の)研究者間ネットワーク形成について議論を行いたい。STSに関係する日本の研究者、特に若手の方々に興味を持っていただければ幸甚である。